前回の話しで、雲の上と下でまるで違うと書きました。
では雲の中はと言うと…?
今日はインクラウドの話し
(写真は雲の中に入る直前)
VFR、有視界の資格しかない我々でも、万が一の為の模擬計器飛行の訓練は何度かしましたね。
(写真は羽田の東京航空計器㈱内のフライトシミュレーター)
特にシミュレーターで行う訓練は代表的なモノ。
実機ではフードをかぶって外が見えない状態で、計器板の指示だけで飛んだりしましたね。
(写真は計器飛行の教本。セスナ172なので…)
(写真は羽田の全日空訓練センターでボーイング747のフライトシミュレーターをした時のパンフレット)
でも実機で実際に雲の中に入ると顕れるのが、バーティゴ(Vertigo)と呼ばれる空間識失調。
参考ですが、Wikipedia での空間識失調の説明です。
URL : http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E9%96%93%E8%AD%98%E5%A4%B1%E8%AA%BF
計器は正しいのに、一旦雲の中に入って自分の感覚との違いが生じると、計器の誤作動と判断してしまう恐ろしい錯覚。
洋画『トップガン』の後につくられた、織田裕二主演の邦画『ベストガイ』と言う、航空自衛隊協力の映画をご存知の方いますか?
F15のパイロットがスクランブル任務の帰りにバーティゴに陥ってしまうというモノ。
これも参考ですが、Wikipedia でのこの映画の説明です。
URL : http://ja.wikipedia.org/wiki/BEST_GUY
ちなみに、You Tube ではこの映画の予告編が見られます。
(但し、既に上映済みですが…)
URL : http://www.youtube.com/watch?v=LyxxEClQBQI
自分は計器飛行の資格がないので、あくまでも訓練上での出来事でしか経験ありませんが、ILSで着陸進入中、雲の中で外を見たって周りは真っ白けっけ(笑)
そんな雲の中で右に20度旋回し着陸コースに乗せ、滑走路に正対しオンパス、オンコースであってもまだ傾いてる様な、まだ旋回してる様な、錯覚が起きるんです。
すると、ホントにこの計器正しいの?と思う状態に陥ります。
そこで関連の他の計器を見て総合的に判断し、壊れてないと結論し自分に言い聞かせるのですが、これは訓練という余裕があるワケです。
実際に陥ったらパニックになりそうです。
でも面白い事に、自分の感覚と計器表示の違いにモヤモヤしてても、雲の切れ間から地上がチラッと見えただけで、モヤモヤが一気に解消してしまうのが不思議な位です。
ちなみに地表面付近で発生する雲の事を霧と表現され、性質は同じモノ。
車でも霧の中を走るのは怖いですよね。
(写真は視界100m以下の風景)
旅客機は、着陸してくる速度でも約200km/h以上は出てますから一瞬の判断力を要するワケですね。
梅雨空が続く、言わば天候のバーティゴ状態ですが、早く梅雨明けして、カラッとスッキリしたいものですね。